この恋、上方修正銘柄です!
乱れたベッド。重なる足の上に、朝の明るい光が差し込む。
錦の髪を梳いていた九条が、
「なあ、俺らのことやけど……」
やはり来たか、と心の準備をする。
「会社の奴らには内緒にしといた方がええと思うねん。けどいつか時期が来たら、絶対ちゃんとするから」
「はいはい、分かってる分かってる」
「えー、何なん、その投げやりな言い方」
「妻帯者が不倫相手に使う常套句を言っといて、何なんはあり得ない」
「ははっ、確かにそやな。……なあ、そんな拗ねんとこっち見て?昨夜はあんなに素直やったくせに」
つと、思惑のある手が素肌を撫でる。
「うそ、何回したら気が済むの……!?」
「そっちこそ、何回イったか忘れたん?ええっと、いちにいさんしーごーろく……」
「数えなくて良いです!」
「ええから、も一回しよ?昨夜はアンアン哭きながら、指以外で中イキしたん九条くんが初めて、ってエロい顔で悶えてたやん」
「なっ……お願いだからそういうこと言わないで!」
「あー、思い出しただけで勃って来た」
ほら、と手を取られて導かれた先には血流が集まったものがあり、赤面する。
「だって、体中、筋肉痛だし……」
「そりゃもう、色んな体位で愛し合ったからな。よし、今からまたジャグジー入るか!」
「こんな明るい時間、絶対無理!」
じゃれ合いながら、ふと気になった。九条は他の女の子たちも、昨夜みたいに抱くのだろうか。甘くて、少し意地悪で、あんなにも情熱的に。
「ん、どした?」
九条の過去に嫉妬してしまう程、既に欲が出てきているらしい。何でもない、とごまかすけれど。
「ぶっちゃけそれなりに経験はあるけど、高辻相手やと調子狂うっていうかブレーキがぶっ壊れるっていうか……今までゴムなしでやったこともなかったし」
本当なら嬉しいと思いながら、あれ?と思う。
「私、声に出してた?」
「知らんかった?俺、昔から高辻の表情読むの、結構得意。……まあたまに間違うけど。これからはどんどん精度上げていく予定。今も合ってる筈」
「……あ……ちょ、ちょっとま……んっ……」
唇を塞がれて、とことん敏感になっている肌がまた熱を帯びる。
「昔言ってくれたやん。九条くんがヤりたいか、ヤりたくないかで決めればいいって。あれ、めっちゃ感動した。あの時にはもう俺、高辻のこと好きやったんやと思う」
「そ…それ、何の話……、やッ……!」
「な、体はもっと欲しいって。You can't deny what's between us. いい加減、認めたら?」
魅惑的に囁かれ、ゾクッと身を震わせた。
「そういうの、ズルい……」
「そう、大人はズルいんやで」
昨日の今日で、九条の全部を信じられるようになるほど、楽天的には出来ていない。
それでも今は少なくとも、求められていることを実感出来るから。結局、九条の言いなりになるしかない。
手を伸ばし、頭を引き寄せ口づけた。