この恋、上方修正銘柄です!

 隣の富小路さんが俺が頼んだ焼き鳥のラストの串を取って、
「なーんか私ら、男性行員らの中で、バチェラー九条アービングを巡る婚活サバイバルとか言われてるらしいんだけど。誰、そんな上手いこと言った人」 
と、探るような視線を送ってくる。

 あ、それ、俺です。

 富小路さんはなんとなく苦手な感じがする。多分これ、同族嫌悪。
「あ、皆さん何か頼みまス?」
と、話を変えるべく、メニューを開けたところに。

「だから私は、偉くなろうと決めたんです!」
 唐突に融資課テーブルから上がった決意表明。

「高辻さんって……なんか、スゴイくないですかあ?」
 北川さんが褒めるとも貶すとも言えない声音で呟いた。
「あー……、北川さんは本営に来て2年目だから知らないだろうけど、ああ見えて高辻さんも苦労してるからねえ。前、融資課にいたお局様には陰湿にやられてたし」
「え、そうなんスか?」
「甲斐課長が亡くなった時もかーなり落ち込んでたんだ。土屋さんと高辻さんだけが胸糞パワハラ野郎に食ってかかったりしてさ、課長は絶対無実です!とか言って。土屋さんみたいに辞めちゃうんじゃないかと思ってた。……あ、ダメダメ、これアンタッチャブルな話題だったわ」

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