この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「支度はできたか?」
「はい」
神父控室にやって来た航輝は黒のタキシードを着ていた。いつにもまして、惚れ惚れするほど決まっている。
「鈴菜、綺麗だよ」
「ありがとうございます」
面と向かって褒められると背中がむずがゆくなってくる。
航輝のような極上の男性から言われるとなおさらだ。
「行こうか」
「はい」
結婚式が始まると、厳かなチャペルの中をふたり並んでバージンロードを歩き、神父の前で一生そばにいると誓い合う。
結婚式を終えた鈴菜たちを待ち構えていたのは、成婚セレモニーとは違う本物のフラワーシャワーだ。
フラワーシャワーの中を歩きながら鈴菜は航輝にこっそり耳打ちした。
「あなたと結婚できて幸せです」
そう言って微笑むと、航輝は一瞬面食らったもののすぐに頬にキスをしてくれた。
長い結婚生活、楽しいときもあれば、苦しいときもあるだろう。それでも彼と生きていくと決めた。
ひとりでも平気で生きていける世の中かもしれない。
でもきっとふたりで生きていくのは、もっと大きな喜びであふれている。
——願わくば、結婚を望むすべての人が幸せになれますように。
鈴菜はそうブーケに祈りを込めながら、空に投げ上げた。
おわり


