別にあなたに愛されなくても。〜死に戻った侯爵夫人は、二度と夫を愛さない〜
「なによ……これ……」

 全く想像していなかった内容に、私は言葉を失った。
 だってこれ……似ているどころか、私と夫そのものじゃないの……!!

 私の名前は『シャーロット』とぼかされてはいるものの……夫の名前はそのままだし、爵位だって……。それに、夫の愛人の存在まで書いてある。

 あと、私が殺されたことまで、一緒だわ……。いえ、ちょっと私のことを美化しすぎじゃないかしら、とは思うけれど……。

 でも、わからないこともある、それはこの「青年」に関することだ。もしこの話が私の一度目の人生をもとにして書いてあるとしたら……私のために、誰かが夫を裁いてくれたということなのかしら。

 いいえ、それ以前に……肝心なところが所々黒く塗りつぶされているけれど、きっと時間が巻き戻ったのはこの「青年」の魔法が関係しているのかもしれない。そもそも、時を巻き戻すなんて魔法を使える人間が、この国にいるの……? でも、それってかなりすごい魔法よね。少なくとも私は聞いたことがない。そんな魔法を、なぜ私なんかに……?
 まさか、本当にわたしのことが好き? ……いえ、さすがにそれは自惚れすぎよね。

 私なんか、人に好きになってもらえるような女じゃないもの。

 第一、この作者は何のためにこの本を書いたというの?
 きっと、一度目の人生にはなかったはずよね。

 作者の「アレク」って、何者なの?

 ……駄目ね、わからないことが多すぎる。でもこれではっきりしたこともあるわ。
 夫が「愛している女性と結婚できるようになった」といったのは、彼女が男爵令嬢になったから。
 だから、邪魔になった私を殺したのね。きっと、普通に離縁するだけでは、不貞していたことがバレてしまうとでも考えたのかしら。

 外面のいい夫のことだもの。

 それに、もう一つ重要なことがわかった。

 夫の愛人の、名前は…………。




 *****

 ____ガチャ!

「いらっしゃい! ヴィクトル!」
「あぁ、久しぶりだな。最近は結婚で忙しかったから……。君に会えることが何よりの楽しみだったよ…………愛しのキャロライン」
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