別にあなたに愛されなくても。〜死に戻った侯爵夫人は、二度と夫を愛さない〜
「……やっぱり、やめにしませんか」
「どう考えてもそれは無理だよ、シャーリン」
「だって……だって、やっぱり恥ずかしいんですもの……!!」
「そういうものだよ」

 ____結婚式を無事に終えた夜。

 新婚の夫婦に待っているもの、それは……結婚初夜だ。

 私は今まで二度結婚をしたことがあるけれど、どちらも初夜を迎えることなく終わってしまった。いえ、二度目は敢えて避けたのだけれども……今は、そんなことはどうだっていい。

 私、知らなかったのよ。初夜がこんなに恥ずかしくて、逃げたくなるような儀式だということを……!!

 私が真っ赤になって俯いていると、突然アレク様が私の顔を覗き込みながら、「シャーリンは、嫌かい?」と優しく問いかけてきた。

 …………ずるい、ずるいわ、そんなの、決まってるじゃない。

「…………嫌じゃ、ないですわ……恥ずかしいだけです……」
「うん、そうだよね。ごめん、わかってて聞いた」

 アレク様が少し意地悪な顔をして、私に口づけする。
 それから小さな声で「大丈夫。絶対優しくするって、約束するよ」とささやかれてしまったので、私はもう何も言うことができなかった。

 その代わりに、私からも軽く、アレク様にキスをする。

「ふふ、驚きました? 仕返し……ですわ」
「…………煽ったのはシャーリンだからね」

 ____そうして私とアレク様は、広くて大きいベッドの海に深く沈みこんだのだった。


 *****

 ____コン、コン、コン……。

「おはようございます、シャーリン様。朝のお支度のお時間です。入ってもよろしいでしょうか?」
「サラ、おはよう。えぇ、構わないわよ」

 翌朝のこと。
 いつも通りサラが私の支度をしに部屋に入ってきた。
 それから、私の火照った顔を見て、静かに微笑んだのだった。



「シャーリン様、昨日は随分素敵な夜をお過ごしになられたのですね。……ふふ、やっと言えました!」
< 62 / 62 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:56

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop