妹扱いはもうやめて

1

いつもと同じ朝。

いつもと同じ制服。

いつもと同じ朝ごはん。


いつもと違うことと言えば、今日が高校最後の日ということ。

私はいつも通りの時間に家を出て高校へ向かう。

学校へ着くと、みんな最後の学校を惜しむかのように写真を撮ったり、卒アルに寄せ書きをしていた。


卒業式は順調に進んでいき、式の最後に校長先生からサプライズがあると言われ、体育館が暗くなる。

何が始まるのだろうと隣の子と話していると、ステージの幕が開け、爆音が鳴り響いた。

隣の子がステージ上にいる人達とその音楽を聞き、立ち上がり叫ぶ。

周りを見てみると、ほとんどの人が立って音楽を楽しんでいた。

私はと言うと、違う意味で立ち上がっていた。


ステージに立ってギターを弾きながら歌っていたのは、5年前出ていってしまった颯貴お兄ちゃんだった。

キラキラの顔をして、ギターの人やキーボードの人達と目を合わせながら歌を歌っていた。

間違いなく、あの頃よく聞いていた歌声であり、毎日見ていた顔の人物だ。


「颯貴…お兄ちゃん、有名になってる…」


ぽつりと言った言葉を隣の友達は聞き逃さなかった。

「え、さっくんの事知ってる!?
最近有名になってきてるんだよねぇ。
この学校、母校らしいよ!
マジこの学校に居て良かったぁぁ」

最近、有名になってきてるんだ。

お兄ちゃんも、夢叶えたんだ。



そんなこんなで卒業式は終わり、友達と最後の別れを惜しみながらも帰宅すると、家にはなんと颯貴お兄ちゃんが居た。

「なんで居んの!?!?!?」

衝撃のあまりお祝いで貰っていた花束や荷物を投げ飛ばし、颯貴お兄ちゃんの元へ駆け寄る。

「あ、空恋。卒業おめでとう。びっくりした?」

そういいながら、「はい」と紙袋を差し出してきた。

「あ、ありがとう。
いや、それどころじゃないんだけど。
何どういうこと?なんで居るの??」

「空恋の高校卒業だから来た」

「え、なんでそんな落ち着いてられんの??
5年ぶりだよ?5年ぶりに会ったんだよ?
もっとなんかないわけ??」

お兄ちゃんは顎に手を当てながら首を捻ると、手をポンっとした。

「久しぶり」

「久しぶり。ちゃうわボケ」

なんだか私だけが盛り上がってるのが馬鹿らしくなって、一旦椅子に座って心を落ち着かせる。

「なんでそんな落ち着いてんの。
なんかさ、ないの?大きくなったねとか、大人っぽくなったねーとかさ」

お茶を1口飲んでから、お兄ちゃんは口を開く。

「だって、僕空恋が大きくなるの見てたもん」

「………は?」

言ってることが何一つ理解出来なくて、開いた口が塞がらない。

「空恋のお母さんに、空恋の写真送ってもらってたから」

「はぁ!?何それ初耳なんだけど!」

キッチンに居るお母さんの方を見ながら言うと、お母さんは「そうだったっけ?」と言いながら食器を洗ってる。

なんて適当な…。


「それより、卒業祝いのやつ開けてみてよ」

「あ、うん」

そういえばさっきしれっとお兄ちゃんから貰ってたんだった。

私は有名ブランドのロゴマークがついた紙袋を開け、小さい箱を開ける。

そこにはキラキラと輝くネックレスが入っていた。

「え、これ私欲しいって思ってたやつ!!
本当にいいの!?マジでいいの!?」

「いいよ」

お兄ちゃんは満面の笑みを浮かべると私の頭を撫でた。

「マジずっと欲しかったやつなの!スゴすぎ、奇跡すぎる」

「お母さんから聞いてたから」

「奇跡じゃないんかい」

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