財界の暴君に契約妻として囲われました ~初恋を拗らせた大富豪に、一途に愛されています~
「で? 俺に何の用だ」

 単刀直入に尋ねると、愛華はわざとらしく肩を竦めた。

「マスコミでは、機密情報の漏洩に関する責任を追及するような報道ばかり。だから、体裁のいい言葉を並べて対応しているみたいだけど……」
「……何が言いたい」
「……身内のトラブルを表沙汰にしたくないでしょ?」
「どういう意味だ」

 愛華の言葉には、棘があるように聞こえる。

「私なら、株価も、失った信用も取り返せるって言ってるの」

 その瞬間──嵌らなかったパズルのラストピースが、ピタリと合わさった気がした。

「李茉さんと離婚して、私と再婚して。そしたら、全て解決してあげるわ」

 これか……! これが目的だったのか。

「断る」
「っ……⁉ なぜ? こんな良い手は、他にはないわよ?」
「……たとえ社長の座を追われることになったとしても、離婚だけは絶対にしない」

 愛華の顔が、みるみるうちに歪んでいく。

「っっ……何なのよっ、もう……‼」

 愛華は勢いよく立ち上がり、ヒールを鳴らしながらドアへと向かう。

「後悔しても、遅いんだからね……‼」
「フッ……余計なお世話だ」
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