通りすがりの俺様
よく知らない俺様に誘われました
 

 その日、鳴沢(なるさわ)いずるは社内の呑み会に参加していた。

 行事的なものではなかったのだが、仲間内で声をかけあっているうちに、かなりの大人数になったようだった。

「それじゃあ、ここで一旦解散ってことでー」

 一応、幹事のようなことをしていた同じ部署の先輩、藤屋満(ふじや みつる)が爽やかな笑顔で言った。

 藤屋さん、まだまだ行けるぞって顔してるけど、と思ったら、案の定、

「二次会来る人、ついて来てー」
と満は手を振る。

 はーい、とみんなゾロゾロついて行った。

 私はもう帰ろうかな。

 晴菜(はるな)も明日、仕事早いからって途中で抜けて帰ったし。

 眠いし。

 新人のときは、最後まで頑張ってたけど。
 もう二年目だし、いいだろう。

「お、」

 お疲れ様です~と近くの人に言って帰ろうとしたとき、ポン、と誰かに肩を叩かれた。

「行くぞ」

 へ? と振り返ると、営業部の水内一鷹(みずうち かずたか)だった。

 営業のイケメン俺様さんだ。
 たぶんその辺の人適当に叩いただけだろうけど。

 断ったら殺されそう。

「……はい」
といずるは頷く。

 一鷹が歩き出すと、他の女子たちが、
「水内さんも行くんですか~?
 じゃあ、私も行きます~っ」
とついて行く。
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