通りすがりの俺様
 


「そういえば、俺、なんか誰かにつけらてる感じがしたんだけど、今日」

 案の定、鍋だった晩ごはんを食べながら、一鷹が言う。

「今度はいずるちゃんじゃなくて、一鷹なの?」
と矢端が言う。

「あれじゃない?
 犯人がいずるちゃんを見張ってるのなら、二人で式場決めたのも見てたかもしれないよね。

 自分が奪う予定の大金が一鷹のところに行くかもと思って警戒してるんじゃないの?」

 そう秀が言った。

 ――よしっ。
 破談にするチャンスだっ。

「あの、水内さんになにかあってはいけないので、やっぱり、この結婚は……」

 いずるはそう言いかけたが、

「金が欲しいなら、やるから来いって言おう。
 そしたら、静かになるだろ?」

 そんなことより、俺やいずるの周りをゴソゴソされる方が面倒だ、と溜息をつきながら、一鷹は言う。

 矢端が、
「いやそれ、どうやって伝えるんだよ」
とちょっと柔らかめの湯葉入り豆腐を苦労してお玉にすくいあげながら言う。

「……そうだな。
 そいつが俺の背後で見張っているのなら、背中に紙を貼っとく」

 ……背中に紙を。
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