恋旅

最終日 告白~すみれ~

すべての始まりの場所である海辺。



静かに打ち寄せる波の音だけが響く中、すみれはまっすぐに龍之介を見つめて立っていた。



言葉を交わす前から、彼女の瞳には強い決意と、これまで溜め込んできたすべての想いが溢れそうになっていた。



震える息を整え、すみれはたった一言、ありったけの心を込めて告げる。



「――好き」



たった一言。



飾らないその言葉には、龍之介を想い続けた日々の葛藤も、涙も、切なさも、すべてが詰まっていた。



しかし、龍之介は苦しそうに目を伏せ、ゆっくりと首を横に振る。



「……ごめん。ひまりちゃんがずっと好きだったから、ごめんなさい。すみれちゃんには、俺よりもっと似合う人がいるから……幸せになってね」



優しさを繕うような、けれど残酷なその拒絶の言葉。



それを聞いた瞬間、すみれの胸の奥で張り詰めていたものがプツリと切れた。



けれど、そこでただ泣いて引き下がるすみれではなかった。



涙をポロポロとこぼしながらも、すみれは一歩、また一歩と龍之介との距離を詰め、その胸ぐらを掴む勢いで顔を近づける。



「……龍之介くんよりも私に似合う人なんて、この世のどこにもいないって思うんだけど!」



怒りと悔しさと、そしてあふれ出る愛情が混ざり合った、泣きながらの強気な抗議。



その直球すぎる言葉に、龍之介はハッと息を呑み、言葉を失って大きく目を見開くのだった。
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