あなたは悪魔で運命の人
泣き崩れる私をそっと椅子に座らせると、龍崎部長はどこかに姿を消した。
会社のマネージャーと京子が到着したのは、その後だった。
“手術中”のランプが点灯したままだった。
長い…長い時間だ。
いつしか窓から太陽を感じるようになり、朝になっていたようだ。
まだ健斗は手術室から出てこない。
私は祈るように、健斗を待っていた。
暫くするとガチャンと音が響き、手術室のドアが開いた。
そして中から酸素マスクを着けて、眠っている健斗が運び出されてきた。
医師がすぐに説明にやって来た。
「高山さんは一時心臓が止まり大変危ない状況でしたが、その後奇跡が起こりました。心臓も動き出し急激に回復に向かったんです。きっと皆さんのお気持ちが通じたのですね。」
医師は優しい笑顔を見せて去っていった。
「高山君…よかった…本当によかった!」
京子やマネージャーも大声で喜んでいる…私はその場で張り詰めた気持ちが緩み、気を失って倒れてしまった。
その時、私は夢を見ていた。
健斗を連れていく死神が見える。
そこへ現れたのは悪魔だった。
悪魔は何か死神と話をしている。
話が終わると悪魔は自分の美しい羽の片方を折り、死神に渡してしまった。
その羽と引き換えに死神は健斗を手放した。
「恵美…恵美…大丈夫?」
京子の呼びかけで私は目を覚ました。
「やだぁ。高山君が助かったら、今度は恵美が倒れるんだもん。驚いたよでも、でもよかったね。奇跡が起きたってみんな言ってるよ!」
あの人が、健斗を助けてくれたんだ。
自分の大切な羽と引き換えにして。
ありがとうございます…本当にありがとうございます。
涙が止まらない。