あなたは悪魔で運命の人
健斗はかなり回復して、すでに会社へ出社できるようになったていた。
休んだ分を取り返そうとしているのか、健斗は意欲的に仕事をこなしていた。
久しぶりに見る健斗の仕事をする姿は、眩しくもみえていた。
すると突然、マネージャーが慌てた様子で健斗に近づいて来た。
余程のことなのか、息を切らせて走って来たようだ。
マネージャーは汗を拭きながら健斗に話始めた。
「高山君、大変だよ!大切なお取引先が君をご指名なんだよ。すぐに来てくれないか?」
「はい。マネージャーどちらのお客様ですか?」
「あぁ。三枝物産の社長が直接お越しなんだよ。」
(…三枝物産って確か…)
私は、先日の病院でお会いした女性を思い出していた。
赤いバラを持ってお見舞いに来た女性を健斗は三枝さんと言っていたことを思い出した。
それから1時間程して、健斗とマネージャーが応接室から戻って来た。
気のせいかも知れないが、二人とも顔色が良くないようだ。
二人の会話に耳を欹てる。
「高山君、数億円のお取引になるな。でも、条件がなぁ、困ったことになったな。」
「マネージャー、僕がもう一度話をしてみます。解ってもらえるように。」
「でも、あの感じじゃ難しいぞ!」
「…くそっ!!」
健斗が仕事であんなにも怒りを表に出すところなど見たことが無い。
余程、我慢が出来ないことを言われたのだろう。
その時、漠然ではあるがなぜか嫌な予感のようなものを感じていた。