見積もりには書けないもの
第十五話 『夏のLINE』
午後二時五十六分。
シートに体を預けると同時に時計を確認した。
ここから芳江さんの家までは車で2〜3分。
どんなに慣れたお客様でも、遅刻は厳禁。
慣れたお客様ほど、きっちりしたい。
LINEの宛名が気になってはいたが、優先順位を間違えないのが大切だ。
缶コーヒーを開け、電子タバコを起動させる。
早る気持ちを抑えながら、コーヒーを一口。
そして一服。
僅かな期待を胸に、気持ちを落ち着かせる。
その僅かな期待は、的中していた。
森下さんからだ。
『先程はありがとうございました!』
から始まったLINEは、お礼と気遣いを含めた丁寧な内容だった。
ただ……
ただ……
何気なく使ったんだと思う。
たいした意味もないと思う。
ただ……
ただ……
男ってさ。
特に、おじさんってさ。
どんな形でも、スタンプにハートがあると、
勘違いしちゃうのよ。
浮かれちゃうのよ。
お辞儀をする羊。
口元にハート。
それだけで俺は、浮かれてしまった。
さっきまでの余韻を一気に引き戻し、完全に浮かれ気分のまま芳江さんの家へ向かった。
「暑いね」
芳江さんは、ぴったり来るのがわかっていたかのように玄関前で待っていてくれた。
「暑いですね」
そう答えながら、車から降りた。
今日はエアコンの調子が悪いというのと、いつものように細々した手直しだ。
いつものように、まずはリビングのソファーに案内され、一緒にお茶を飲む。
この時期は必ず、高校野球が放送されたままのテレビが、少し大きめのボリュームで流れている。
いつもなら、ラジオでどんなに良いところでも、
「芳江さんの家で早く観よう」
と思っていた。
今日は違う。
「あ、高校野球やってたわ……」
芳江さん宅のテレビが、いつもの夏を思い出させてくれた。
浮かれてんな、俺。
軽く自分にツッコミを入れ、芳江さんに向き合った。
その瞬間――
ピコーン。
またLINEが鳴った。
シートに体を預けると同時に時計を確認した。
ここから芳江さんの家までは車で2〜3分。
どんなに慣れたお客様でも、遅刻は厳禁。
慣れたお客様ほど、きっちりしたい。
LINEの宛名が気になってはいたが、優先順位を間違えないのが大切だ。
缶コーヒーを開け、電子タバコを起動させる。
早る気持ちを抑えながら、コーヒーを一口。
そして一服。
僅かな期待を胸に、気持ちを落ち着かせる。
その僅かな期待は、的中していた。
森下さんからだ。
『先程はありがとうございました!』
から始まったLINEは、お礼と気遣いを含めた丁寧な内容だった。
ただ……
ただ……
何気なく使ったんだと思う。
たいした意味もないと思う。
ただ……
ただ……
男ってさ。
特に、おじさんってさ。
どんな形でも、スタンプにハートがあると、
勘違いしちゃうのよ。
浮かれちゃうのよ。
お辞儀をする羊。
口元にハート。
それだけで俺は、浮かれてしまった。
さっきまでの余韻を一気に引き戻し、完全に浮かれ気分のまま芳江さんの家へ向かった。
「暑いね」
芳江さんは、ぴったり来るのがわかっていたかのように玄関前で待っていてくれた。
「暑いですね」
そう答えながら、車から降りた。
今日はエアコンの調子が悪いというのと、いつものように細々した手直しだ。
いつものように、まずはリビングのソファーに案内され、一緒にお茶を飲む。
この時期は必ず、高校野球が放送されたままのテレビが、少し大きめのボリュームで流れている。
いつもなら、ラジオでどんなに良いところでも、
「芳江さんの家で早く観よう」
と思っていた。
今日は違う。
「あ、高校野球やってたわ……」
芳江さん宅のテレビが、いつもの夏を思い出させてくれた。
浮かれてんな、俺。
軽く自分にツッコミを入れ、芳江さんに向き合った。
その瞬間――
ピコーン。
またLINEが鳴った。