完璧な三神くんは、愛だけがわからない。

改めて彼の私物をみるとほとんど黒色で構成されていた。対する私はピンクとか黄色とか色物が多かった。


「うわあ、やっぱり目に悪い色してるな」

「そんなこと言うなら貸さないーー」


電子辞書を鞄にしまおうとするも、三神くんの細身の長い腕に、攫われる。



「じゃ借りてくわ、6限終わったら返したいんだけど、お前の部活どこでやってんの」

「いや机の上でも中でも置いといてくれればいいよ……」


思ったより近い距離に、心臓がどくんと、大きく音をたてる。


「どこでやってんのって聞いてる」

「……家庭科室」

「じゃその近くで待ってる」


三神くん主体で切り開かれていく会話。

きっと、彼は、私の気持ちなんて知る由もない。

えっ……なんで!?


訳のわからない展開になり私の頭は大混乱中。

どくんどくん、とさっきよりもさらに大きく跳ねる心臓。その音が聞こえてしまいそうで、私は慌てて視線をそらした。


< 36 / 72 >

この作品をシェア

pagetop