完璧な三神くんは、愛だけがわからない。
改めて彼の私物をみるとほとんど黒色で構成されていた。対する私はピンクとか黄色とか色物が多かった。
「うわあ、やっぱり目に悪い色してるな」
「そんなこと言うなら貸さないーー」
電子辞書を鞄にしまおうとするも、三神くんの細身の長い腕に、攫われる。
「じゃ借りてくわ、6限終わったら返したいんだけど、お前の部活どこでやってんの」
「いや机の上でも中でも置いといてくれればいいよ……」
思ったより近い距離に、心臓がどくんと、大きく音をたてる。
「どこでやってんのって聞いてる」
「……家庭科室」
「じゃその近くで待ってる」
三神くん主体で切り開かれていく会話。
きっと、彼は、私の気持ちなんて知る由もない。
えっ……なんで!?
訳のわからない展開になり私の頭は大混乱中。
どくんどくん、とさっきよりもさらに大きく跳ねる心臓。その音が聞こえてしまいそうで、私は慌てて視線をそらした。