『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』
「一四半期分、過大に見えてしまいます」

笹倉さんの目つきが変わった。

「少し待ってください」

資料を持ち、遼河さんとジュリアンのところへ向かう。

数分後。

「綾乃」

呼ばれた。

「はい」

「こっちへ来い」

また。

私は端末を手に、会議テーブルへ移動した。

「説明しろ」

遼河さんが資料を示す。

「はい」

前提条件の違いを説明する。

ジュリアンが数字を追う。

「確かに。一四半期ずれているね」

笹倉さんも頷いた。

「このままだと評価額へ影響します」

遼河さんが私を見る。

「お前ならどう直す」

また。

試す目。

でも。

昨日とは違う。

もう緊張はしなかった。

「まず、海外展開時期をどちらで確定するかです。第二四半期開始が正しいのであれば、売上予測を一四半期後ろへずらして再計算します」

「それだけか」

「いいえ」

資料を開く。

「対象企業の海外売上予測自体がかなり強気です。市場投入初年度にこのシェアを取る前提なら、マーケティング費用も現在の見積もりでは足りません」

遼河さんの目が細くなる。

「続けろ」

「広告宣伝費と現地販売網の構築費を上げれば、EBITDAは下がります。企業価値も再計算が必要です」

しばらく。

誰も話さなかった。

やりすぎた?

少し不安になったところで。

ジュリアンが笑った。

「やっぱり君を連れてきて正解だったね」

「ジュリアン」

「褒めているんだよ」

遼河さんは資料を閉じた。

「笹倉」

「はい」

「綾乃の指摘を反映して、条件を組み直せ」

「承知しました」

「綾乃」

「はい」

「お前も入れ」

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