【続編】ふたりの恋のそだてかた。

――――
――……

しばらく経って、ようやく夕飯にする流れになる。

先にキッチンに入った爽真を手伝おうとすると、ローテーブルに新聞と最近話題の文学賞をとった小説が何冊か置いてあるのを見つけた。


「爽真、新聞なんか取ってたっけ?それに小説も……普段読書とかしてなかったよね?」


キッチンに並んで、器によそられたポトフを受け取りながら首を傾げる。
なんてことない顔した爽真が、鍋に視線を落としたまま答えた。


「……御伽さんが、今後演技を続けるなら世界を広げるべきだって。ニュースや文学作品が使えるって言うから、それで」

「ふーん……」


さすが蘭子さん。演技指導の視点が違う。

しかも、あの爽真が素直に聞くってことは余程現場でいい刺激を受けてるってことだ。


「……?」


嬉しいことなのに、なぜか胸がもやっとしてそこを見て首を捻る。
手にしていたポトフの湯気が、顰めた顔に直撃して空腹を誘った。

「瑠奈?どうした?」

「……ううんっ?なんでもない。
早く食べよ。お腹すいたぁ」

パタパタとリビングに走って、説明のつかない胸の引っ掛かりを振り払う。

ご飯とサラダ、チキンソテーも並んで、もう馴染んだ夕飯の風景が出来上がった。


「そういえば、ドラマ観たよ。ちゃんと侑征に見えた。
ラストも、その……よかった」

「ああ、あれは、まぁ。瑠奈が協力してくれたおかげっていうか」

「ん。だよね。だから思った以上に心穏やかに観られたよ」

「……なにそれ」



想い合ってることは、多分お互いわかってる。


でも、お互いが密かに抱える胸に落ちたほんの少しの不安は――
私たちのこれからに、どう作用するのだろうか?
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