君の歌声に恋をした。天才作曲家と無自覚天然少女。
第五章 嫌々始めたはずの制作
最初の打ち合わせでは、必要最低限のことしか話さなかった。
小海は曲の方向性を説明し、澪はそれを聞いて質問する。
「ここは、もう少し強く歌った方がいいですか?」
「強くするというより、感情を少し前に出して」
「感情……」
「うん。技術より、そっちを意識して」
「分かりました」
澪は真剣な顔で頷いた。
小海はその様子を見ながら、少し意外に思っていた。
天然で、どこかふわふわしている。
そういう印象だった。