君の歌声に恋をした。天才作曲家と無自覚天然少女。
「やってみたい」
その気持ちだけを信じて、ボタンを押した。
あれから時間が経った今。
澪は小海の隣で、新しい曲の歌詞を眺めていた。
「小海さん、この部分なんですけど」
「うん」
「もう少し柔らかくした方がいいかな?」
「澪が歌いやすいなら、それでいいと思う」
「じゃあ、そうします」
小海がパソコンを操作する。
澪はその横顔を見ながら、小さく笑った。
最初に会った頃は、こんな未来になるなんて想像もしていなかった。
自分の歌を聴いてくれる人が増えることも。
大好きな音楽を一緒に作れる人と出会えることも。
そして。
自分の「好き」という気持ちを、ちゃんと誰かに伝えられるようになることも。