甘い初恋を、もう1度。
――ビリビリッ!


「っ…!?」


最前列にいたからか、目と目が合う。


身体に電流が走ったような感覚。


なに、これっ……!


顔の温度が上がる。


茜里さんも動揺している様子。


茜里さんが……舞台から飛び降りた…!


「和恋っ…!」


ひょいと、わたしの火照った身体を持ち上げた茜里さん。


膝裏をすくわれて、いわゆる『お姫様抱っこ』をされている。


「せんり…さっ……!?」


ビリビリッと、体中に痺れが走る。


「っ…」


「ちょっと我慢してね、和恋」


たったっと駆け抜けて、体育館裏を抜けて氷花の2− Ωクラスへ走り込んだ茜里さん。


「クソッ……ヒートか?いや、そこまでじゃないな……」


「あの、せん、り…さんっ…」


「茜里さんじゃなくて、今だけ、由環って呼んで」


「えっ…」


「いいから、でなきゃ、ずっとこのまんまになるよ」


「やだっ…ゆ、ゆ、……ゆき…、くん…っ」


「はぁー、相変わらず可愛いな、とりあえず抑えようか」


「えっ…抑えるって、何を……んっ……!」


ふと顔を上げたときには、茜里さ…由環くんの美しい顔面がまつ毛が触れそうなくらい近くにあった。

 
驚き顔をそらそうとしたが、無理矢理顎を掴まれ、唇に柔らかいものが触れる。


――その時、今までの人生で感じたことのないくらいの甘い痺れが、全身に行き渡った。


ビリビリとした甘い痺れはわたしの脳を働かなくさせ、指先まで力が入らなくなっていく。


頭から何かの物質がドパーッと放出されているかのように、自分の体が自分じゃないみたいになっていく。


触れた唇が、甘くて熱い。こんな感覚、知らない…っ


「ふぁ…ゆき、くっ……」


「喋らないで、キスしにくい」


「んぅっ…」


1回離れた唇が、冷たさを知る前にまた強引気味に押し付けられる。


怖くて、体が強張る。


由環くんは、そんなわたしの頭を、あやすようにポンポン撫でてくれた。


何だろう、何だか、安心、する……


その時、唇が離れた。


「どう?熱さ引いてる?」


「あっ…はい…!」


火照りがマシになってる!


「よかった、じゃあ発情ってところかな?…ね、君Ωでしょ」


「Ωクラスではありますけど……それは中間試験の結果で決まってて……」


「あ、そうなの?でももう17歳だよね。バース検査受けてるでしょ」


「バース…検査……あ!はいっ」


「結果は?」


「忘れました……でも形はなーんとなく!」


胸ポケットからメモ帳とシャーペンを取り出し、試行錯誤しながら記憶に近い形を描いていく。


「これ…Ω…」


「え!?」


わたしが、、Ω?


「ちなみに俺はα」


α…


「聞き覚えだけはあります」


「マジかー」
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