71歳の恋愛小説家
高校生になると父親は月に二~三回しか帰ってこなくなった。

そんな環境でよく不良にならず真直ぐに暮らせたものだと思うが、叔父と叔母に気兼ねしながら育ててくれた祖父母の事を想うと後ろ指をさされるような生き方はできなかった。

高校の友人たちに恵まれたのもラッキーだったのかもしれない。

高校は都会ではなく郊外の丘の上にあったので、生徒も先生も皆鷹揚で明るくおおらかだった。

最寄駅から少し歩くと心臓破りの坂があり、いつもの電車に乗り遅れると悲惨だ。

皆ゼイゼイハアハア言ってクラスに滑り込んでくるのだ。

校門には先生が立っていて時間になると門を閉められてしまう。

可奈子は英語が好きだったので、将来就職に有利になるように、バイト代で近くの英語の塾に通っていたのだ。

そんな事も誰に言われることもなく将来の事を自分で考えて動いていた。

相変わらず学校の成績はよかったので、高校三年生の受験の時、担任から外大に推薦してやると言う話があった。

指定校推薦で枠は一人だったが、それを受けられれば入学は叶う。

父に言ったが、私立の大学の授業料までは出せないと言われた。

国立大学なら考えてやるとも言われたが、外大だから行きたかったのだ。

今から国立の外大に合格するのは至難の業だった。

叔父に相談することも考えたが、これ以上迷惑はかけられない。

特にお金の問題なのだ自分の兄の娘にまで叔父には責任がないのだ。

ただ可哀そうな姪の事を小学校の間面倒を見てくれたのだ。

それだけで十分ありがたいと、高校生の加奈子は理解していた。
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