【偽】カップルですが、本当の恋を教えてください
なにかを乞うような、なにかを求めるような。
艶めかしくて色気のある・・・そこか、知らない男性を見ているような気分になる。
「嘘、なんだよね?」
「あ、当たり前じゃん・・・っ」
「じゃあさ」
私よりもずっと大人なのに、甘えるような、幼子ような上目遣いで緋雁が自分の唇を指でなぞった。

「本当に嘘なら・・・俺にキスしてよ」

「・・・ふぇ?」
「今、ここで」
ちょ、ちょっと待って・・・?
さも当たり前と言わんばかりの顔で変なこと言わないで・・・⁉
な、なんでキス?私が緋雁に?なんでそれが嘘の証明になるの⁉
「な、なんでそんなことになるの・・・ねぇ、変だよ、」
「なんで?桃祢が他の男と仲良くしてるのが嫌なの。なんでだと思う?鈍感な桃祢ちゃんには分からない?」
蚊の泣くような声でそう小さく反抗すると、逆にぐいっと顔が近づけられ、今度は私の唇が撫でられた。
情報番組だからカチッとした服を着てるのに、何故か目に毒な、見てはいけないものを見ているような気分になる。
「桃祢ちゃんはね、人の変化には鈍感なのに、恋情には疎いから・・・それもまたそそられるんだけど」
「なに言ってるの・・・?」
きっと緋雁が今言ってるのは、私に言いたいことそのものではないんだろう。
焦らされてる感じがする。気になるのに、言ってほしくないような気もする。
まわりくどい言い方をする緋雁を見つめると、緋雁はペロリと唇を舐めて笑った。
うっ・・・悔しいけど色っぽい・・・なんでこんなに様になるの。
「それはね」
優しく、小学生に教える先生のように緋雁はゆっくり口を開く。
穏やかで、温かくて、私の大好きな緋雁のはずなのに・・・。

「俺が、桃祢のことが好きだから。本気で愛しちゃってるからだよ」

「・・・っひか、り」
それ、は・・・つまり・・・そういうこと・・・?
「え、あ・・・う、あ・・・」
メンバーにいきなりそう言われ、とっさに言葉が出ずに、壁と緋雁の腕の間でオロオロ。
すると、それを見た緋雁がパッと手を離して、
「あ~、ごめんごめん、こわかったね~。驚かせちゃったね、ごめんね~・・・」
幼子をあやすように、いつも通り柔らかく抱きしめてくれた。
無意識に、いつもと違う緋雁を怖がっていたらしく、元に戻った緋雁にしがみつく。
「うぅ・・・」
な、なんで急にそんなこと言いだしたの・・・。
「うーん、ギャップで攻めてみたんだけどなぁ・・・効かなかったかぁ。うんうん、ごめんねぇ」
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