経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2

会議室の決意3

 竹田の言葉に司は頷いた。この新入社員は、こんなに周囲が色々な感情を感じていても全く動じない。分かっている筈なのに動じない。

「やることはシンプルです。今まで別々だったものを一つにします。特許→事業→財務→株価。市場は会社全体を見て評価します。だからこちらも一つとして見せます」

 う…ううーーーん。言われていることは、しつこいけれど何となく分かる。けれど、言語化されてもやっぱり想像ができない。

 早くも絶望しかけた部員と、それを見ていた部長とCFOが引き攣る中、司は静かにこう言った。

「一人で全部理解するのは無理です。だから専門性ごとに切り分けます。一人目。特許担当。技術の要点をシンプルに纏めて下さい。二人目。事業担当。事業部から情報を集めて、どこを改善できるか、どこが伸びるかを整理して下さい。三人目。財務担当。財務部と連携してROICやFCFなど必要なデータを揃えてください。四人目。ストーリー担当。IRや経営陣の意図を集めて、どんなストーリーにしたいかの方向性を纏めて下さい。その全部を、私が最後に数字で裏付けます」

 司がやっていたのはこれだったのか。確かにこの新人は入社直後から別々のデータを勝手に繋ぎ、誰も見えていなかったものを見付けていた。どうやったらそれができるのかと不思議に思っていたけれど、まさか会社全体に同じことをすると言い出すなんて。

 そして最後の言葉に、四人はそれぞれに感じるものがあったようだ。CFOと部長も敏感に察した。これは司の手足になる仕事に等しい。さっきもそうは言ったけれど、ここまで明言されると覚悟が変わる。それでも愚直に動けるか。
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