経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 そして二人で司の部屋に戻って来た。お腹いっぱい。心も満たされた。沢山話してすっきりしたし、心配事もなくなって心が軽くなった。後は体を休めたら完全復活だ。二人でベッドに入って、楽しかったね。と笑った。

「ゆっくり休んでね」

 と綾音が言ってくれる。

「明日は寝坊だなー」

 と、宣言したら綾音もうんうんと頷いた。そのまま、安心したように自分に寄り添ってくれる綾音にじんわりと心が疼く。愛おしいとはっきり思う。ここにいてくれることが堪らなく幸せで、どうしたらもっと愛せるかと本気で考える。

「…綾ちゃん」

「ん?」

 昨日とは違って自分の腕の中にちょこんと収まる綾音に言い掛けた。ありがとう。理解してくれて、待っていてくれて、心配してくれて、応援してくれて。お陰で何とかやり切れた。

 舞の言葉で、綾音は耐えて我慢していた訳じゃないことを知った。そんな綾音だから、その先に続く二人の時間も全部支えてくれる。だから理解の証にそう言おうとした。

 でも踏み止まる。だってそれを言ってしまったら、これは奇跡になってしまう。でもそうじゃない。

 これは綾音の必然だ。綾音と一緒にいれば、この先も同じ様なことがきっと沢山経験できる。これが特別じゃなくて当たり前の毎日が待っている。そう気付いたら、最初の一つ目を特別にしたくなくて口にするのを止めた。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

 過去に綾音が同じ事を思って、同じ言葉を口にしなかった過去があることを司は知らない。
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