よそ見なんてしてません!…たぶん。

 「本気の相手なら、もっと慎重にならない?って思うんだけどさ」

 「遊び慣れてる男って、余裕あるもんね」

 箸を持つ手は止まったまま、ゴクっと唾を飲み込んだ。

 再び脳内に召喚される須波先生。

 先生の告白を信じきれていない私に、『確かめてみる?』と車内で壁ドンからの、流れるようなキス。

 『まだ足りない?』と余裕たっぷりの顔。

 あ……あれは……

 慣れてる?

 いや、でも、あの須波先生だし。

 モテるし、医者だし、そりゃ遊んでたっておかしくないですよ。

 私だって、そのくらいはわかってる。

 わかってはいるけど……ツキンと胸が痛んだ。

 もしかしての、もしかして、

 私……遊ばれてる……?

 いやいやいや。

 ちゃんと「好きだ」って言ってくれたじゃん。

 『俺と付き合って、白石』

 って。

 あんな真っ直ぐな顔で。

 ………でも。

 遊び慣れてる人なら、それくらい普通に言える……とか?
< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop