よそ見なんてしてません!…たぶん。
2
午後になり、再び外科病棟へ戻った。
結局、食堂で聞いた会話が頭から離れない。
『遊び慣れてる男って、余裕あるもんね――。』
「…………」
いやいや。
考えない、考えない。
今は仕事。
須波先生のことは一旦頭の隅に追いやって、午後の業務に集中しよう。
そう思いながらナースステーションに戻ると、
「あ、白石さん?」
聞き慣れない声に名前を呼ばれた。
「はい?」
振り返ると、そこには見覚えのない男性が立っていた。
白衣の胸元には、研修医の名札。
『和田 直樹』
短めの黒髪に、人懐っこそうな笑顔。
見るからに明るそうな雰囲気を纏っている。
「今日、脳外からヘルプに来てる人ですよね?」
「あ、はい。そうです」
「やっぱり。俺、研修医の和田です。先週から外科回ってます。よろしくお願いします!」
「あ、こちらこそよろしくお願いします」
ペコッと頭を下げると、和田先生はニッと笑った。