弁護士さん、恋愛の仕方がわかりません


私の願いが通じたのか…。

あの『婚姻届事件』から3日。
22時になっても高嶺さんはコンビニにやって来ない。

ただ、仕事が忙しいだけなのか。
それとも、本当に再検討をしているのか…。

定かではないけれど、あんなことがあった後だ。

こちらとしても、頭の整理をしたいところではあったので大変助かっている。

「ありがとうございました〜」

いつものくたびれたスーツのおじさんを見送り、店内にお客さんがいなくなったところで、私はカウンターの中で軽く伸びをした。

あと少しで今日の仕事も終わる。

夜勤の山下(やました)さんは早めに出勤し、バックヤードで店長と雑談しながら軽く夜食のサンドウィッチを摘んでいるところだ。

カウンターの下には本日のご褒美、どら焼きも待っている。

うきうきと残り時間を過ごしつつ、カウンター内での雑務をこなしていると…。
ピロリン、と自動ドアのメロディが鳴った。

「いらっしゃいませ…」

顔を上げてみれば、そこに立っていたのは──。

「………高嶺、さん?」

思わず目を擦って、二度見した。

いつものきっちりとしたスーツ姿ではなく。

グレーのスウェット上下にサンダル。
乱れた七三、黒縁眼鏡。

どこかぼんやりとした表情の高嶺秀一、その人だった。
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