極甘クールな芸能人幼なじみの意地悪な溺愛デート編
しかもその手はもう、部屋着の裾を摘まんでた。
「待って、それはもう、っ!」
「もう? そっか、俺にこういうことされたんだ。じゃあ紗知は俺を起こさないように声とかずっと我慢してたってこと?」
そのまま裾をひらひら弄ぶなんてひどいよ。
「そうだとしても、ありがとうって先に言うのが普通じゃない?」
一言くらいそういうのがあってもいいのに、ナツ君はそんなの他人事みたいにこう言った。
「紗知の前で俺が普通でいられるわけないじゃん。やっぱ俺のことなんもわかってないね」
それから一度体を起こしてスマホを手に取ると、誰かとしゃべり始めた。
電話の相手って片桐さんしかいないよね。何するつもりなの?
ギリギリに来て、って言ってるけどそれってお迎えのこと?
いつも楽屋入りは一時間前だから、その時間を潰すつもりなのかも。
お迎えが6時になったらいつものルーティンが崩れちゃうのに。
「そこまでしなくていいよ。充分一緒にいられたし、私のためならやめて? そういうの嬉しくない」
覆いかぶさってきたナツ君を押し返そうとしたけど、できなかった。
「紗知のためなわけないじゃん。全部俺のためだよ」
「……どういう意味?」
あの……どこまで俺様ですか?