S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 そのスイートエデンがルミリュクスの福利厚生サービスに仲間入りしたので、今後割引価格で利用できるようになる、との情報を、総務部厚生課に在籍する莉乃がいち早く教えてくれたのだ。

「行きたい!」
「行こ行こ~!」

 紗夜が前のめりに告げると、莉乃もうんうんと頷いてくれる。紗夜と同様、莉乃もスイーツに目がないのだ。

 莉乃から受け取った印刷物はのちほど社員に配布される案内状の試し刷りらしく、紙面の上部には『福利厚生に新サービス追加が追加されます!』と書かれている。

 新しいサービスは他にもいくつかあるらしく、紗夜がお弁当の蓋を開けながらそれを読み込んでいると、莉乃が「ふふふ」と楽しそうに笑い出した。

「これも明里常務のおかげ」
「!」

 莉乃の口から予想外の名前が出てきたことに、びくっと過剰反応してしまう。箸箱から出したばかりの箸をうっかり滑り落としそうになる。

 紗夜と同期入社の莉乃はもちろん、和季が紗夜の指導係だったことを知っている。だが実は二人が付き合っていたことは、一切把握していない。

 莉乃が友人の個人情報を勝手に暴露する人だとは思っていなかったが、万が一のことを考え、彼女にも事実を伝えていなかった。

 秘密が漏れたときに影響が大きいのは紗夜ではなく和季の方なので、彼のためにも絶対に秘密を知られないようにと考え、仲の良い莉乃にも交際の事実を伏せていたのだ。

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