マッチングした相手は片想いの社長でした
仕事を人任せにしないところ。

現場を大切にするところ。

どんな小さなことでも手を抜かないところ。

肩書きは正反対なのに。

仕事に向き合う姿勢は、どこか似ていた。

そしてその日。

「また来ます、お父さん」

いつものように春樹さんが帰ろうとした時だった。

「待て、春樹君」

春樹さんが振り返る。

「はい」

父はしばらく黙っていた。

それから、まっすぐ春樹さんを見た。

「そんなに那奈が欲しいか」

その言葉を聞いた瞬間、私の胸が大きく鳴った。

二人から少し離れた入り口で、足を止める。

春樹さんは迷わなかった。

「はい。ぜひとも頂きたいです」

父が俯いた。

「そうか」
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