怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡
他校の男子は一歩引いた。

「いや、ちょっと話しかけただけだし」 「断られてただろ」 「……悪かったよ」

それだけ言って、男子は足早に去っていった。

廊下に静けさが戻る。

わたしはほっとしたのと同時に、神崎くんの背中からものすごい不機嫌さが伝わってきて、少しだけどきどきした。

「神崎くん」 「何」 「助けてくれてありがとう」 「礼はいらねぇ」 「でも」 「それより」

ゆっくり振り向いた神崎くんは、かなり本気で機嫌が悪そうだった。

「やっぱ接客だめだ」 「ええ?」 「かわいすぎる」 「それはもう聞いたよ」 「聞かせたいんじゃなくて事実」 「そんな真顔で言わないで」 「男寄ってくんの見てるだけで無理」 「……やきもち?」 「今さら確認すんな」 「だって」 「めちゃくちゃしてる」

その言葉に、胸の奥がじんわりあたたかくなる。

前なら不安になっていたかもしれない。 でも今は違う。

神崎くんの独占欲は、ちゃんと好きの裏返しだと知っているから。
< 42 / 100 >

この作品をシェア

pagetop