怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡

最終章

ベッドに座り直して、わたしはスマホを耳に押し当てた。 電話越しなのに、神崎くんの声は不思議なくらい近く感じる。

『体調は』 「もう平気。今日はちゃんと元気だったよ」 『無理してない?』 「してない」 『ほんとに』 「ほんとに」 『ならいい』

短いやり取りなのに、その確認にちゃんと安心がこもっていて、胸があたたかくなる。

少し沈黙が落ちる。 でも気まずくはない。

むしろ、相手も同じように何かを思い出している気がして、どきどきする。

『……なあ』 神崎くんが先に口を開く。

「なに?」 『今日のこと、思い出してた』 その一言で、心臓がどくんと大きく鳴る。

「っ……」 『おまえ、絶対今赤い』 「神崎くんだって」 『まあな』 あっさり認められて、余計にどきどきする。

『あのあと、帰ってから何も手につかなかった』 「え」 『おまえは』 「……わたしも」 『ほんと?』 「ほんと」

そう答えると、電話の向こうで少しだけ息を吐く音がした。
< 90 / 100 >

この作品をシェア

pagetop