キミがいたから。
白い人
──私は爽と少しずつ話すようになる一方で、女子たちからの嫌味は続いていて。
「爽って、野村さんと仲いいよね」
その言葉に爽は、
「うん、友達だから」
となんでもない笑顔で笑う。
私はその言葉を聞いて思わず胸が温かくなった。居場所を求めているわけでも、友達が欲しいとそういう訳でもない…。ただ爽のその明るい笑顔だけで、ぽっかりと空いた穴が塞ぐように感じた。
───私は爽に“どうしてそんなに優しいの”と尋ねる。いきなりの質問で困らせてしまったかな。
爽は少し黙ってから、
「昔、俺も誰かに助けてもらったことがあるから」
と珍しく真顔のような、真剣に考えているような…そんな表情で答える。
誰かにしてもらった優しさは、次の誰かへ渡せる。
その言葉が私の心に残って、優しく私の心を撫でてくれたような気がした。
───帰り道、燈は初めて自分から爽を誘う。
「……明日も、一緒に帰ってもいい?」
高校に入ってからこんな風に誰かを誘ったのは初めてだった。そんな勇気や期待はもう捨てたと思っていたけれど、爽にだけは違っていて。
フッとどこかで見たことあるような笑顔で爽は笑う。
「もちろん」
燈は思う。
――この人の隣にいると、少しだけ自分が好きになれる。
そして、その感情が“友達”とは違うものになり始めていることに、まだ気づかなかった。