偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
理玖に連絡を取ってみると、思っていたよりもあっさり返事があり、話がしたいと伝えればすぐにやって来た。
待ち合わせ場所には、人目のあるカフェを選んだ。
窓際の四人掛けの席に慧さんと並んで座って待っていると、店内に入ってきた理玖がこちらを見つけ、真っ直ぐ歩いてくる。
「昨日は突然ごめん。でも、ちゃんと話せたし、わかってくれてよかっ――」
そこまで言ったところで、理玖の言葉が止まった。
私の隣に座っている慧さんに気づいた途端、それまで少し安心したように見えていた表情が硬くなる。
「……どうしてここにいるんですか」
「俺が悠里にお願いしたんです。あなたと一度、きちんと話をさせてほしいと」
「俺はあなたと話すことはありません」
理玖は明らかに不機嫌そうにそう言い、向かいの椅子へ腰を下ろした。
重たい沈黙が落ちる。
何か言わなければと思ったとき、隣にいた慧さんが静かに口を開いた。