君の才能ごと、独り占め
19☆まだ足りない
人通りの少ない細い道。
すぐ近くに誰もいないのを確かめるみたいに、恒一くんが一度だけ周りを見る。
それから、少しだけ近づいた。
「星音」
「うん」
「さっき、あそこで止まれたの、わりと奇跡」
「え」
「ほんとは全然足りてない」
その言葉に、心臓が大きく跳ねる。
「……足りてないって」
「キス」
あまりにもまっすぐで、顔が熱くなる。
「だってまだ、思い出すたび嫌になる」
低い声。
静かなのに、切実だった。
「だから、今は俺のことだけ考えてほしい」
その一言で、胸の奥が甘く震える。
私は少しだけためらってから、彼の制服の袖をつかんだ。
「……考えてるよ」
「足りない」
「え」
「もっとほしい」
そんなふうに言われたら、断れるわけがない。
「人、来ないかな」
小さくそう言うと、恒一くんは少しだけ目を細めた。
「来たら離す」
またそれだと思って、少しだけ笑ってしまう。
すぐ近くに誰もいないのを確かめるみたいに、恒一くんが一度だけ周りを見る。
それから、少しだけ近づいた。
「星音」
「うん」
「さっき、あそこで止まれたの、わりと奇跡」
「え」
「ほんとは全然足りてない」
その言葉に、心臓が大きく跳ねる。
「……足りてないって」
「キス」
あまりにもまっすぐで、顔が熱くなる。
「だってまだ、思い出すたび嫌になる」
低い声。
静かなのに、切実だった。
「だから、今は俺のことだけ考えてほしい」
その一言で、胸の奥が甘く震える。
私は少しだけためらってから、彼の制服の袖をつかんだ。
「……考えてるよ」
「足りない」
「え」
「もっとほしい」
そんなふうに言われたら、断れるわけがない。
「人、来ないかな」
小さくそう言うと、恒一くんは少しだけ目を細めた。
「来たら離す」
またそれだと思って、少しだけ笑ってしまう。