君の才能ごと、独り占め
8☆彼の嫉妬
その日の放課後、クラスでは文化祭の出し物決めが行われた。
二年三組の候補は、喫茶店、お化け屋敷、演劇。
多数決の結果、最終的に選ばれたのは音楽喫茶だった。
普通の喫茶店に、クラスの有志による演奏タイムを組み込む企画らしい。
「絶対盛り上がるじゃん」
「軽音部の子もいるし、バイオリンできる子もいるし」
「え、じゃあ橘さんも……」
その一言で、教室の空気が少し変わる。
私はすぐに気づいて、机の上で指先をぎゅっと握った。
やっぱり、そうなる。
音楽という言葉が出れば、次に向くのは私だ。
「星音ちゃん、ピアノ弾けるんだよね」
「ていうか絶対すごいよね」
「一回だけでもやってくれたら目玉になるじゃん」
悪気がないのはわかる。
みんな楽しみにしているだけなのもわかる。
でも、その期待の目を向けられると、胸の奥が少し冷たくなる。
私は答えに迷った。
出たくない。
でもクラスの空気を壊したくない。
そうやっていつものように笑って引き受けてしまえば、きっと丸く収まる。
それでも、言葉が出なかった。
そのとき。
「無理に頼むなよ」
教室の後ろから、恒一くんの声がした。
二年三組の候補は、喫茶店、お化け屋敷、演劇。
多数決の結果、最終的に選ばれたのは音楽喫茶だった。
普通の喫茶店に、クラスの有志による演奏タイムを組み込む企画らしい。
「絶対盛り上がるじゃん」
「軽音部の子もいるし、バイオリンできる子もいるし」
「え、じゃあ橘さんも……」
その一言で、教室の空気が少し変わる。
私はすぐに気づいて、机の上で指先をぎゅっと握った。
やっぱり、そうなる。
音楽という言葉が出れば、次に向くのは私だ。
「星音ちゃん、ピアノ弾けるんだよね」
「ていうか絶対すごいよね」
「一回だけでもやってくれたら目玉になるじゃん」
悪気がないのはわかる。
みんな楽しみにしているだけなのもわかる。
でも、その期待の目を向けられると、胸の奥が少し冷たくなる。
私は答えに迷った。
出たくない。
でもクラスの空気を壊したくない。
そうやっていつものように笑って引き受けてしまえば、きっと丸く収まる。
それでも、言葉が出なかった。
そのとき。
「無理に頼むなよ」
教室の後ろから、恒一くんの声がした。