君の才能ごと、独り占め
12☆嫉妬の熱
昼休み。
私は図書室で借りた本を返して、教室へ戻ろうとしていた。
その途中で、声をかけられる。
「橘さん」
振り向くと、見覚えのある先輩が立っていた。
文化祭の日、教室まで来た三年生の先輩。
あの日は恒一くんが間に入ってくれたけれど、こうして改めて話しかけられると少し緊張する。
「この前は急にごめん」
「いえ」
「少しだけ話してもいい?」
断ろうか迷った。
でも、ここは廊下の真ん中だし、少し話すだけならと思ってしまった。
「少しだけなら」
そう答えると、先輩はやわらかく笑った。
「文化祭の演奏、本当に良かった。あれからずっと頭に残ってて」
「ありがとうございます」
「よかったら今度、軽音の先輩たちとも話してみない? 橘さん、絶対もっといろんな場で弾けると思う」
その言葉に、私は少しだけ目を瞬いた。
誘い方は穏やかだけど、期待の目だとすぐわかる。
前みたいに苦しくはない。けれど、簡単にうなずく気にもなれなかった。
私は図書室で借りた本を返して、教室へ戻ろうとしていた。
その途中で、声をかけられる。
「橘さん」
振り向くと、見覚えのある先輩が立っていた。
文化祭の日、教室まで来た三年生の先輩。
あの日は恒一くんが間に入ってくれたけれど、こうして改めて話しかけられると少し緊張する。
「この前は急にごめん」
「いえ」
「少しだけ話してもいい?」
断ろうか迷った。
でも、ここは廊下の真ん中だし、少し話すだけならと思ってしまった。
「少しだけなら」
そう答えると、先輩はやわらかく笑った。
「文化祭の演奏、本当に良かった。あれからずっと頭に残ってて」
「ありがとうございます」
「よかったら今度、軽音の先輩たちとも話してみない? 橘さん、絶対もっといろんな場で弾けると思う」
その言葉に、私は少しだけ目を瞬いた。
誘い方は穏やかだけど、期待の目だとすぐわかる。
前みたいに苦しくはない。けれど、簡単にうなずく気にもなれなかった。