monochrome 〜君の切り取る世界に、恋をした〜
写っていたのは、校舎の裏手にひっそりと咲く小さな雑草の花と、旧校舎の階段に落ちる夕日の影。
技術的に完璧なわけではない。
けれど、そこにはあのラムネ瓶のビー玉を撮った時に律自身が感じていたような、誰も気づかない世界の儚さと、息をのむほど繊細な光が確かに切り取られていた。
誰に対しても心を開かず、冷めた目で世界を見てきた律にとって、その写真はあまりにも真っ直ぐで、美しかった。
「…あの写真を気に入って入部してきたって先生から聞いたけど。」
律は写真の裏側に書かれた『白石 彩羽』という名前を指でそっとなぞった。
自分の写真に引き寄せられてやってきた少女が、自分と同じように世界を愛おしく切り取っている。
さっきまで冷ややかだった律の黒い瞳に、見たこともない小さな熱が宿っていた。