男女比偏向世界で就職しました
クレープとDK
公園内のキッチンカーに「カップル割」と書かれたのぼり旗がつけられている。ヒカルの彼氏は屋台飯に嫌な思い出があるのか、いつも見ないふりだ。そもそも今は一人なので割引対象外だが。美味しそうだし別にいいかと足を向けた時、大きな手に掴まれてクレープを販売しているキッチンカーに引っ張られていった。ギリギリ女子大生に見えなくもない女とブレザーの男子高校生の組み合わせに最初は微妙な顔をした店員だが、割引はしてくれた。爽やかスマイルが眩しい少年は「俺もちょうど食べたかったので」と代金を受け取ろうとしない。天使か。
「……あの、私のと交換しない? 一口しか食べてないしスプーンあるから」
少年が何か言う前に苺カスタードのクレープとほろ苦コーヒークリームのクレープ(生地にもコーヒーが練り込まれている)をトレードした。一口食べた少年の顔が一瞬引きつったのをたまたま見えたからだ。甘い物だけで十種類近くあったのに、食べたいがプライドが邪魔する年頃なのだろう。少年の頬が赤く染まるが、屈辱ではないのは人の機微に聡くない自分でも判る。
カップル(仮)なので即解散するワケにもいかず、ベンチに座ってクレープを食べ進める。会話はなかったが、不思議と気まずさはなかった。
何処かの学生寮にて――。
「ご機嫌だな、何かいい事あったのか」
「公園で女神に会った」
「風邪か、流行らすなよ」
「何故そうなる!」
(ただ、お姉さんが使ったスプーンを回収できなかったのは残念だな)
「……あの、私のと交換しない? 一口しか食べてないしスプーンあるから」
少年が何か言う前に苺カスタードのクレープとほろ苦コーヒークリームのクレープ(生地にもコーヒーが練り込まれている)をトレードした。一口食べた少年の顔が一瞬引きつったのをたまたま見えたからだ。甘い物だけで十種類近くあったのに、食べたいがプライドが邪魔する年頃なのだろう。少年の頬が赤く染まるが、屈辱ではないのは人の機微に聡くない自分でも判る。
カップル(仮)なので即解散するワケにもいかず、ベンチに座ってクレープを食べ進める。会話はなかったが、不思議と気まずさはなかった。
何処かの学生寮にて――。
「ご機嫌だな、何かいい事あったのか」
「公園で女神に会った」
「風邪か、流行らすなよ」
「何故そうなる!」
(ただ、お姉さんが使ったスプーンを回収できなかったのは残念だな)


