青く、淡い、フィルターの向こう側  -あの頃、好きと言えなかった君と大学で再会した-
そして夏希が持ってきていたパソコンを二人で覗き込んで、コンクールの出品要項や過去の受賞作品リストと照らし合わせながら要所で脚本を推敲しあった。

そして一息ついたころ、気付けば本音がポロリと零れていた。

「私的には夏希はサスペンスとかアクション好きやから、そっちで勝負するんかとばかり思ってた」

「あー……」

夏希は固まって片手で口元を覆うと言葉を濁す。

その仕草は迷っている時によく出るやつで、あれ、もしかしてちょっと不味かっただろうか?

僅かに焦りを覚えたが、しかし夏希は何度か緩く頷くとチョコレート菓子を差し出してきた。

「まぁ、心理に迫るのが好きなだけやから。何も事件だけやないしな、それにカメラはあっても予算はそんなないし」

箱から覗く細長いそれを手に取って、夏希の主張と共に咀嚼する。

「なるほど……確かにアクションは無理やね。でも心理ゲーム系ならリーズナブルに出来そうやけど」

何気なく言うと今度こそ夏希が固まってしまった。
しかも、そそくさとパソコンを閉じて突然立ち上がる。
その表情はどことなく強張ってて、見上げれば溜息を零された。

「由紀のこと撮りたかったから。いろいろ考えて辿り着いたのがそれ」

「え?」

「勝手にモデルにしとった。やっぱ引く?」

「いや、そんな……」

「じゃあ主役やってくれる?俺、由紀と映画作りたいんやけど」

「演技とかしたことないし……」

突然のことで呆気にとられ出てきた言葉は頭の中で練ったものでなく、ただの反射だった。

「まぁ考えといてや。由紀となら擦り合わせもしやすいし、他に女友達もおらんし……その、助かるっていうか。そういうことで」

情報過多が整理しきれない。
しかも夏希は雑踏の中へ消えてゆく。

そうしてまだチョコレート菓子が残っている箱と共に、ほったらかされてしまった。
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