異世界深夜コンビニ

第9話 発注数がおかしい

 九日目の午後十時。

 俺がミッドマート北森店の駐車場へ着くと、店の裏手に白い配送トラックが停まっていた。

 後部の扉が開き、制服姿の配送員が台車を押している。

 段ボール箱。

 飲料のケース。

 冷蔵商品のコンテナ。

 どれも、どこのコンビニでも見る普通の荷物だ。

「お疲れさまです」

 俺が声をかけると、配送員も軽く頭を下げた。

「お疲れさまでーす」

 台車がガラガラとバックヤードへ入っていく。

 店内では榊原先輩が検品用の端末を持っていた。

「瀬尾、冷凍の方見ろ」

「はい」

 俺は制服へ着替える前に、届いた箱のラベルを確認した。

 ホットスナック。

 チキン。

 コロッケ。

 フランク。

 ここ数日で、俺にも見慣れた名前ばかりだ。

 配送員が次の箱を台車へ載せながら言った。

「北森店、最近揚げ物よく出ますね」

「え」

「前より箱増えてるんで」

「あー……」

 俺は一瞬、言葉に詰まった。

 夜中に二メートルのリザードマンが買っていくからです。

 とは言えない。

「まあ、夜が結構」

「こんな山の中で?」

「意外と」

「へえ」

 配送員はそれ以上気にせず、次の荷物を運びに戻った。

 仕事だから当然だ。

 どこの誰が食べるかなんて、配送する側には関係ない。

 俺は冷凍箱を持ち上げた。

「先輩」

「ん」

「完全に普通の配送ですよね」

「見りゃ分かるだろ」

「この人たち、異世界人が食べるチキン運んでるって知らないんですよね」

「知らんだろ」

「なんかすごいな……」

「何が」

「いや、日本の物流が異世界まで食わせてるというか」

「店までだろ。森まで運んでねえぞ」

「そういう意味じゃなくて」

「早く入れろ。溶ける」

「はい」

 結局、感慨より冷凍庫だった。

◇

 午後十一時四十分。

 配送された商品を片付け終えた俺は、フライヤーの前に立っていた。

 片方の槽は清掃済み。

 もう片方は稼働中。

 油の中ではチキンが揚がっている。

「今日はちょっと多めですね」

「最近減るからな」

「昨日もリザードマン来てましたし」

「来てたな」

「魔王軍の将軍までシュークリーム買ってましたけど」

「シュークリームはフライヤー関係ねえだろ」

「そうですけど」

 タイマーが鳴る。

 俺は籠を上げ、油を切った。

 香ばしい匂いがカウンター周りへ広がる。

 チキンを一つずつケースへ並べる。

 最初の夜なら「こんな時間に誰が買うんだ」と思っていた。

 今は、並べながら数を数える。

 これで足りるか。

 そっちの方が気になる。

 午前零時。

 自動ドアの向こうが暗い森へ変わった。

 九日目の異世界営業が始まる。

◇

 午前零時二十分。

 ウィーン。

「いらっしゃいませ」

 入口を見た俺は、すぐに見覚えのある深緑の鱗を見つけた。

「お」

 常連のリザードマンだ。

 約二メートルの大きな身体。

 革のベスト。

 腰の幅広い剣。

 太い尾。

 もう、見ても何とも思わない。

「こんばんは。チキンありますよ」

「うむ」

 琥珀色の目が細くなる。

「今日は多めに頼む」

「何個です?」

「まず、我の分を三つ」

「いつもどおりですね」

「それと」

 リザードマンが横へ一歩ずれた。

 その後ろ。

 暗い森の中に、さらに三つの大きな影が立っていた。

「……あ」

 一人。

 二人。

 三人。

 全員、リザードマンだった。

 最初の一人は、常連よりさらに肩幅が広い。

 黒に近い深緑の鱗。

 鼻先から左頬へ、白く古い傷が一本走っている。

 革の胸当ての上からでも分かるくらい胸板が厚い。

 二人目は少し小柄――といっても百八十センチはありそうだ。

 黄土色に近い鱗で、首に赤い布を巻いている。

 腕は太いが、動きは軽い。

 三人目は青灰色の鱗。

 身体は細身で、尾もほかの二人より長い。

 まだ若いのか、店内を見回す琥珀色の目が忙しい。

 三人とも腰に武器はある。

 でも。

 見慣れてしまった。

「……お連れさんですか?」

「仲間だ」

 常連が答える。

「この店の鶏肉がうまいと話した」

「布教してる」

「ふきょう?」

「何でもないです」

 黒緑の大柄なリザードマンがホットスナックケースを覗き込んだ。

「これか」

「チキンです」

「小さいな」

「あなたたち基準で言わないでください」

 黄土色のリザードマンも隣から覗く。

「香りはよい」

 青灰色の一人は、ケースに顔を近づけすぎている。

「熱いので気をつけてください」

「これを三つ食うのか?」

 青灰色が常連を見る。

「三つでは足りぬ日もある」

「先輩」

 俺は小声でレジを見る。

「ん」

「今日、足りない気がしてきました」

「俺も」

「もっと早く言ってくださいよ!」

「今来たから分かった」

「そりゃそうですけど!」

 俺はケースの中を数えた。

 チキン、九個。

 さっき多めに揚げた。

 多めに揚げたはずだった。

「三つずつ」

 黒緑のリザードマンが言った。

「え?」

「我も三つ」

「私も三つ」

 黄土色も続く。

 青灰色が少し考えた。

「では我も三つ」

「待ってください」

 俺は指を折った。

 常連三つ。

 黒緑三つ。

 黄土色三つ。

 青灰色三つ。

「十二個?」

「うむ」

「今、九個しかないです」

 四人がケースを見る。

 俺も見る。

 九個。

 どう見ても九個。

「残りは?」

 常連が聞く。

「今から揚げます」

「待てばよいか」

「七分くらい」

「よい」

 即答だった。

 昨日までのドワーフに聞かせたい。

「じゃあ、先に九個お渡しします?」

「いや」

 常連が仲間を見る。

「揃ってからでよい」

「分かりました」

 俺はフライヤーへ向かう。

「先輩、追加します」

「もう出してる」

「早っ」

 見ると、先輩は冷凍庫から追加分を作業台へ出していた。

「こうなると思ってたんですか?」

「四人で三つずつって言った時点でな」

「それは俺も分かりますよ」

 油へ投入する。

 じゅわっと音が広がる。

 四人のリザードマンが一斉にそちらを見る。

「……圧がすごいな」

「気にすんな」

「先輩は気にならないんですか」

「揚がるまで何もできねえだろ」

「それはそうですけど」

◇

 チキンを待つ間、四人は店内を見て回り始めた。

 常連は慣れたものだ。

 水を二本。

 おにぎりを二つ。

 迷わずかごへ入れる。

 仲間たちは違う。

「これは何だ」

 黒緑がコロッケを指した。

「コロッケです」

「肉か?」

「じゃがいもが中心ですね」

「芋」

「はい」

「揚げてある」

「そうです」

「一つ」

「ありがとうございます」

 黄土色はフランクを見ている。

「こちらは肉か」

「肉です」

「一つ」

「はい」

 青灰色は唐揚げの札を見ている。

 文字は読めない。

「これは鶏か?」

「そうです」

「一つ」

「はい」

 注文が増える。

 俺はトングを持った。

 コロッケ一個。

 フランク一本。

 唐揚げ。

 紙袋へ入れる。

「……あれ」

 ケースを見る。

 さっきまでそれなりに入っていたはずなのに。

 空きが目立つ。

「先輩」

「ん」

「チキン以外も減ってます」

「売れたからな」

「知ってます」

 黒緑がコロッケを受け取り、太い黒い爪で紙袋の端を慎重につまむ。

 一口。

 ごり、と牙が見えた。

 紙袋の中身が半分消えた。

「柔らかい」

「コロッケなんで」

「芋とは、このように食うものなのか」

「いろんな食べ方ありますよ」

 黄土色はフランクを持っている。

「この棒は食うのか?」

「棒は食べません!」

「そうか」

「抜かないで持つための棒です」

「便利だな」

 青灰色は唐揚げを一つ口へ入れた。

 数秒止まる。

「これもよい」

「よかったです」

「もう一つ」

「はい」

「我も」

 黒緑が言う。

「え?」

「その鶏を」

「唐揚げです?」

「それだ」

 さらに減る。

 ホットスナックケースの底が見え始めた。

 俺は、嫌な予感がした。

「先輩」

「見えてる」

「ですよね」

「次、コロッケも揚げる」

「ですよね!」

 チキンのタイマーが鳴る前に、俺たちは次の準備へ入った。

◇

 七分後。

 追加のチキンが揚がった。

 油を切る。

 紙袋を十二枚並べる。

「なんで十二枚?」

 先輩が聞いた。

「三個ずつ、別々に渡すので」

「まとめた方が早くね」

「常連さん、爪で袋破らないよう丁寧に持つから、一袋に詰めすぎない方がいいかなって」

 先輩が一瞬だけ俺を見る。

「ん」

「何です?」

「いや」

「気になる」

「慣れたなと思って」

「今さらですか」

「最初、爪見て固まってたろ」

「もう九日目ですから」

「まだ九日だぞ」

「内容が濃すぎるんですよ!」

 俺はチキンを袋へ入れていった。

 一つ。

 二つ。

 三つ。

 四人分。

 常連が受け取る。

 仲間三人も続く。

 そして。

「うまい」

 黒緑。

「本当だ」

 黄土色。

「もう一つ欲しい」

 青灰色。

「待って」

 俺は手を上げた。

「今、三個ずつ渡しましたよね?」

「食った」

「早い!」

 常連が低く喉を鳴らす。

 笑っている。

「言ったであろう。うまいと」

「あなたが広めたんですよね、これ」

「うむ」

「嬉しいけど困るなあ!」

 俺はケースを見る。

 追加分を出した直後なのに、また減っている。

「あと何個揚げられます?」

 先輩に聞く。

「冷凍庫見ろ」

「俺が?」

「発注覚えんだろ」

「今ですか?」

「今だからだろ」

 俺はバックヤードへ走った。

 冷凍庫を開ける。

 箱を確認する。

 残数を数える。

 普段なら数字だけ見て終わる。

 今日は違う。

 この後、朝六時までほかの客も来る。

 全部ここで出したら、本当に何もなくなる。

 俺は売り場へ戻った。

「あと一回分なら余裕あります。でも全部出すと、後が厳しいです」

「じゃあ半分」

 先輩が言う。

「半分だけ追加して、残りは朝まで残す」

「了解です」

 常連がこちらを見る。

「もうないのか?」

「ありますけど、ほかのお客さんの分も残したいので」

「そうか」

 あっさり頷いた。

「では、それでよい」

「え、いいんですか?」

「店の品であろう」

「そうですけど」

「我らだけで食い尽くすものではない」

 黒緑も頷く。

「次に来ればよい」

「……助かります」

 俺は少し拍子抜けした。

 巨体で押し切られるようなことはない。

 ちゃんと客だ。

 たくさん食べる客。

 それだけだった。

◇

 午前一時半。

 四人の会計が始まった。

 買い物かごは四つ。

 チキン。

 唐揚げ。

 コロッケ。

 フランク。

 おにぎり。

 水。

 炭酸飲料。

 菓子。

 途中で誰かが追加したカップ麺まで入っている。

「三分のやつですか?」

 俺が聞くと、青灰色が頷いた。

「小さい鍛冶屋が持っていた」

「ドワーフですね」

「うまそうだった」

「三分待てます?」

「三分?」

「お湯入れてから待つんです」

「三分くらい待てる」

「ですよね!」

 なぜか嬉しくなった。

 世の中、三分を待てる客の方が普通だ。

「何の話だ」

 常連が聞く。

「こっちの話です」

 ピッ。

 ピッ。

 ピッ。

 バーコードを読み取る音が続く。

 レジの画面に商品数が増えていく。

「すごいな……」

「何がだ?」

「一回の会計でこんなにホットスナック通したの初めてです」

「次はもっと連れてくる」

「ちょっと待ってください」

「嫌か?」

「嫌じゃないですけど、事前に言ってほしい!」

 常連が首を傾げた。

「なぜだ」

「揚げる数を増やすからです!」

「なるほど」

「予約みたいになってきたな……」

 先輩が横から言う。

「来る人数だけでいい」

「先輩まで乗るんですか」

「売れるなら準備するだろ」

「商売人だ」

「バイトだ」

 四人分の会計を終える。

 硬貨が精算機へ次々入る。

 ちゃりん。

 ちゃりん。

 ちゃりん。

 異世界の硬貨でも。

 四人分でも。

 機械は淡々としている。

 俺は袋を分けた。

 温かい物。

 冷たい飲み物。

 潰れやすい菓子。

「これ、誰のです?」

「我だ」

「こっちは?」

「そやつ」

「もう分かんなくなってきた!」

 最後は本人たちに袋を持ってもらいながら確認した。

 会計が全部終わる頃には、ホットスナックケースは見事に寂しくなっていた。

「ありがとうございました」

 四人が入口へ向かう。

 常連が振り返った。

「新人」

「まだ新人なんですか」

「九日目であろう」

「知ってるんだ……」

「次は五人かもしれぬ」

「だから先に言ってください!」

「覚えておこう」

 本当に覚えてくれ。

 自動ドアが開く。

 四本の太い尾が順番に暗い森へ消えていった。

 ドアが閉まる。

 俺はケースを見る。

 チキン、残りわずか。

 唐揚げ、ほぼなし。

 コロッケ、二個。

 フランク、一個。

「……壊滅ですね」

「売れたな」

「今日それ何回言うんですか」

「売れたんだから仕方ねえだろ」

「まあ、そうですけど」

 先輩が発注端末を俺へ差し出した。

「やれ」

「何を」

「発注」

「今?」

「今、何がどれだけ足りなかったか覚えてるだろ」

 俺は端末を受け取った。

 画面には商品名と発注数。

 数字が並んでいる。

 いつもなら先輩が決めるのを横で見るだけだった。

「俺が決めていいんですか?」

「変なら直す」

「信用されてるのかされてないのか分かんないな」

「早くしろ」

「はい」

 俺は今日の販売数を思い出した。

 チキン。

 いつもの常連分。

 仲間三人分。

 追加。

 唐揚げ。

 コロッケ。

 フランク。

「……これ、増やしすぎじゃないです?」

「明日も来るかもしれん」

「五人で?」

「かもな」

「でも来ないかもしれない」

「来なくても多少は売れる」

「廃棄出たら?」

「減らせ」

「難しいな……」

「それが発注」

 短い。

 でも正しい。

 売れたから無限に増やせばいいわけじゃない。

 来るかどうか分からない客を考える。

 ほかの客の分も考える。

 余らせすぎない。

 足りなくもしない。

 俺は数字を一つずつ変えた。

「チキン、ここまで」

「ん」

「唐揚げ、これ」

「いいんじゃね」

「コロッケ……」

「今日の減り方なら一段だけ増やせ」

「はい」

「フランクはそのまま」

「なんでです?」

「一人しか追加してねえ」

「ああ」

 そういう見方か。

 俺は端末を見つめた。

 異世界の客を接客する仕事。

 そう聞くと、もっと派手なものを想像する。

 でも今やっているのは。

 昨日何個売れたか見て。

 明日何個届くか決める。

 ものすごく普通のコンビニ業務だった。

 入力を終える。

「これでどうです?」

 先輩が画面を見る。

「いい」

「本当に?」

「多分」

「そこは断言してくださいよ!」

「明日何人来るか知らねえし」

「それはそうだけど!」

 発注は未来予知ではないらしい。

◇

 午前六時。

 自動ドアの向こうが、異世界の森から日本の駐車場へ戻った。

 明るくなり始めた山の空。

 いつもの道路。

 いつもの駐車場。

 数時間前まで四人のリザードマンがいたとは思えない。

 俺はホットスナックケースを清掃しながら、空いた棚を見た。

「すごい減り方だな……」

「朝の分は残ってる」

「ギリギリですけどね」

「残したからな」

「俺が」

「俺も」

「半分って決めたの先輩でしたね」

「そうだろ」

「たまにちゃんと先輩だな」

「たまにって何だ」

 午前六時五十分。

 バックヤードから足音がした。

「おはようございます」

 水野さんだった。

 肩ほどの焦げ茶色の髪を後ろでゆるくまとめ、生成り色の大きなトートバッグを肩にかけている。

「おはようございます」

 俺が返す。

 水野さんは制服へ着替える前に、カウンターへ置かれた発注端末を見た。

 そして。

「……また増えてません?」

 来た。

「何がです?」

「揚げ物」

「売れたので」

「前より結構増えてますよ」

「売れたので」

「夜中に?」

「夜中に」

 水野さんが窓の外を見る。

 朝の山道。

 車は一台も走っていない。

「この店、夜だけ別の場所みたいですね」

 俺の心臓が一瞬止まった。

「え」

「昼間こんなに人来ないのに、って意味です」

「あ、ああ」

「何慌ててるんですか?」

「いや、別に」

 危ない。

 本当に別の場所につながっている。

 水野さんは端末をもう一度見た。

「団体客でも来たんです?」

「……まあ」

 嘘ではない。

「四人くらい」

「四人でこの量?」

「一人が大きくて」

「大食い?」

「かなり」

 これも嘘ではない。

 水野さんは少し笑った。

「夜の常連さん、気になりますね」

「普通のお客さんですよ」

 俺は言った。

 自分でも驚くくらい自然に。

 リザードマンでも。

 女王でも。

 勇者でも。

 魔王軍の将軍でも。

 買い物に来たなら、店側から見れば客だ。

「じゃあ、これだけ増やしても売れるんですね」

「たぶん」

「たぶん?」

「発注って未来予知じゃないらしいので」

「何ですか、それ」

 水野さんが笑う。

 横で先輩が小さく欠伸をした。

「瀬尾」

「はい」

「帰るぞ」

「はいはい」

 俺はエプロンを外す前に、もう一度発注端末を見た。

 数字だけなら、普通のコンビニの発注だ。

 その数字が増えた理由を、日本側の配送員は知らない。

 朝番の水野さんも知らない。

 明日になれば、また普通の配送トラックが山道を上がってくる。

 箱を降ろして。

 俺たちが棚や冷凍庫へ入れて。

 夜になれば、それを異世界の客が買っていく。

 魔法で商品が湧いているわけじゃない。

 日本のどこかで作られて。

 トラックで運ばれて。

 この山奥のコンビニを通って。

 最後は、暗い森の向こうへ持っていかれる。

「……なんか本当に、異世界まで物流つながってるな」

「何か言いました?」

 水野さんが振り返る。

「何でもないです!」

 危ない。

 俺は慌ててエプロンを外した。

 この店を異世界につないでいる不思議な仕組みだけじゃ、商品は棚に並ばない。

 少なくとも今夜のリザードマンたちの腹を満たしたのは。

 普通の発注と。

 普通の配送と。

 普通のコンビニ店員だった。

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