引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~
第一章

1-1まさかの隠し子疑惑

「すまない、君を不幸にした」

 目の前では、両手を鎖に繋がれた男が涙を流している。

 白い靄の中で、ジャランと鳴る音は、両手と足に繋がれた鎖同士が触れ合う音だ。

「君のことが好きすぎて……! どうしても、諦めることができなかった……」

 目の前の男の顔が、涙に濡れているのはわかるのに、目鼻立ちはどうしてもアレッシェラからは、はっきりとは見えない。

「待って、どうしてそんなことを言う!?」

 必死に金の髪を振り乱して、アレッシェラは呼びかけた。しかし、男からその言葉への答えはない。

「君を好きになってはいけなかったのに――」

「待って!」

 どうして呼び止めても聞いてはもらえないのか。

 留めようとする声もむなしく、相手の姿は、周囲にいる者たちによって無理やり土の上を歩かされていく。

「ごめん――」

 再度、白い靄の中で、ジャラッと鳴った鎖の音が生々しい。

「違う、それは――」
< 1 / 129 >

この作品をシェア

pagetop