イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
紬は涙をぬぐいながら、ゆっくり言った。

「私は、完璧に大事にされたいなんて言ってない」

湊が黙って聞いている。

「余裕ない日があってもいいって言ったよ。ちゃんと好きでいてくれるなら、それでいいって」

「でも俺がよくない」

「どうして」

「白石がつらそうなの、見たくないから」

その返事に、紬は苦しくて笑いそうになった。
もう十分つらいのに。
離れている今のほうが、ずっと。

「見たくないなら、離れないで」

湊の目が揺れる。

「隣にいてくれたほうが、まだましだよ」

夕方の廊下。
窓から入る風。
誰もいない静かな空間で、ふたりだけが立ち尽くしていた。

あと一歩近づけば、触れられる。
でも、その一歩が遠い。

「白石」

湊が名前を呼ぶ。
それだけで、また涙が出そうになる。

「今の俺、約束できない」

「約束なんていらない」

「……え」

「毎日会うとか、ちゃんとするとか、そんなのいらない」

紬は自分でも驚くくらい、はっきり言えた。
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