初恋愛 ~ブルーグレーの瞳~

記念夜

「重かった…」
「重かったね。」

ドサッと両手一杯の買い物袋を床に置き、フゥ~と二人息を吐いて言った。


健は、保健室の片付け、引き継ぎを終え、先生方への挨拶を済ませ、
私は、クラスでのお別れ会を終えて、やっちゃんに妖しい笑みで見送られ
二人で買い物をして、
健のマンションに来ていた。


「買い過ぎじゃない?」

健が、買った物を片付けながら苦笑いを浮かべて言った。

冷蔵庫に食材を入れ終えた私は、扉を閉めて振り向き

「でも今晩のだけじゃなくて明日の朝食の材料もだから買い過ぎじゃないよ。」

何の迷いもなく、
というか、何も考えず、ニッコリ微笑んで、
普通に答えた。

健の様子には全く気付かず、髪を一つに束ね、エプロンをして、嬉しくて
思わず鼻歌なんか歌いながら仕度を始めていた。

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