京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 こぢんまりとした小さな店構えだが、味は絶品なので文句なしである。二人座りのテーブル席に案内されて、寧々と伊織は腰を下ろした。
 メニュー表は一つしかなかったので、二人で見るほかない。友達とはいえ、知り合ったばかりの男性と顔を寄せるのはなんだか気恥ずかしい。

「寧々ちゃんはどれがおすすめなん?」

 近いところから声をかけられて、寧々はぼうっとしていたことに気づき慌てて謝罪した。

「ごめん、考え事してた。私のおすすめはね、このお店人気ナンバーワンのハンバーグオムライスかな」
「へえ、これかあ。おいしそうやねえ。寧々ちゃんはこれにするん?」
「うん、ここにきたら絶対これ頼むの」
「じゃあ、俺もこれにしよかな」
「ほかにもあるけど、これでいいの?」
「寧々ちゃんのお墨付きやん。せやから、これでええんよ」

 にっこりと微笑まれると、なにも言い返せない。寧々は小さく頷いた。
 伊織が店員を呼ぶと、先ほどの美人店員さんがオーダーを取りに来た。伊織はハンバーグオムライスを二つと、アイスティーを二つ頼んだ。

「ご注文は以上でよろしいですか?」
「はい、お願いします」

 伊織が笑顔を浮かべると、店員さんも営業スマイルなのか、とても可愛らしい笑みを浮かべてキッチンへと戻って行った。
 それから程なくして、アイスティーが届く。

「ほな、乾杯しよか」
「ええ? 大げさじゃない?」
「ええやんええやん、こういうんは楽しんだもん勝ちやで」

 人好きのする笑顔はいつものことだけれど、今日は自然な表情が見られている……ような気がする。
 それならば、伊織の言うとおり楽しんだ方がいいだろう。

「分かった。じゃあ、乾杯!」
「乾杯」

 少し暑い今日はアイスティーが沁みる。冷えていておいしい。
 入店前は少し気まずかったが、伊織の持ち前の明るさでそれはいつの間にか霧散していた。
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