孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする
「大丈夫さ。マナーも心配ならサポートしてくれる人を付けるよ」

「ありがとう。それなら少し安心したわ」

「今度クリスマス休暇に妹さんが帰ってきたらその時に婚約パーテイをやろう。キャッスルホテルで親しい人だけ招いてこじんまりとしたパーテイでいいから」

「うん、妹にそう言っておくわ。きっとびっくりするわ」

シアは左手の薬指にはまったダルの母親の形見の指輪を見つめて、自分の幸せが夢のようだと思っていた。

「マギーもロブも家に一緒に住めばいいからな。妹さんがこっちに帰って来る事になったら、みんなで一緒に暮らそう。離れを作ってもいいかもな。設計士と相談しておくよ」

リリーはこちらに来る前にロナウドと電話で少し話してキャッスルホテルが雇用してくれるなら就職したいと言っていた。

「ダルは一人で静かに暮らしていたのにそんなににぎやかになってしまって大丈夫?女三人を舐めてない?本当にうるさいわよ。マギーとリリーなんか特に、フフフ」

「にぎやかなのもいいさ。一人になれる部屋も確保するから大丈夫。設計士がきっといい案出してくれるよ」

二人が幸せに浸っていた頃。シャドーが動き始めていた。

二人は何も知らずにいたが、ダルがシアの馬ビューテイを牧場から買い取って当初の予定通り馬肉にする工場に預けておいたのを、シャドーが感づいたようだ。

あんなに美しい馬を馬肉にするなんておかしいし細身のスラーとした馬なのだ馬肉にする処なんかあるように思えないと言うのがシャドーの見張りの意見だった。

しかし九月のある日そのビューテイがいなくなった。

工場に聞きに行ったシャドーの見張りに、工場長は昨日肉になったと事も無げに言ったのだ。

そしてダルの元にもすべてを手配した男から、シャドーの関係者と思われる男が工場にビューテイの事を聞きに来たと知らせが入った。

ダルはビューテイがいた牧場主に事情を話して、もしビューテイの事を聞きに来るものがいたらすぐに連絡して欲しい事とビューテイは馬肉工場に売ったと話を合わせてほしいと伝えさせた。

ビューテイは分けあって馬肉工場にしばらく預けていたが、ちゃんと生きているとそして会いたい人に会わせる事ができたとも伝えさせた。
< 49 / 77 >

この作品をシェア

pagetop