孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする
ロブはその横を馬を守るようにゆっくりと歩いている。

其れにはマイクたちスタッフもびっくりしたが、今はそれどころではない。

マイクはすぐに獣医に連絡をして来てもらうように手配をして、牧場の調教助手のデイランにも連絡して詳細を話した。

牧場の方からデイランはじめ厩務員が三人来てくれて、五頭の敷き藁はすぐに交換された。

獣医のタイソン先生も飛んできてくれて、シアが連れて行った五頭の内元気のない一頭の診察をしてアセビを食べてしまったらしい一頭を、病気の馬を隔離する馬房に連れて行った。

他の四頭は敷き藁に混入されたアセビを食べる事が無かったので何ともなかった。

ポニー達も無事だった。

シアは馬達に話を聞いて映像を見せられた。

二人の男たちが昨日の午後トラッキングや乗馬訓練があった時間でスタッフが手薄になった時にやって来て飼い葉桶にアセビを混ぜ開いていた馬房にも撒いて行ったようだ。

でもシアはそれをマイクには言う事ができなくて、

「マイクさん、きっとどこかの誰かの嫌がらせだわ。でも馬達にもしもの事があったら許せないわ。防犯カメラはついてますか?調べたほうが良いですよ。皆さんがトレッキングや乗馬クラブで忙しい時に紛れ込んできたならわからないですものね」

「そうですね。ここの対応が終わったら防犯カメラ調べてみます。こんなことするのはライバルの牧場に決まってます。隣町に牧場があるんですよ。きっとその牧場のやつです」

「でも、食べた一頭もそんなにひどくなくてよかったわ。たくさん食べていたら大変な事になる所だったもの」

「シアさんが匂いに気付いてくれたおかげです。あっそうだ。これパンフレット渡しておきます。忘れるところだった」

そう言ってマイクはジーンズの後ろのポケットからパンフレットを取り出してシアに渡した。

「それにしてもシアさんの馬の扱いはすごいですね。手綱を引かなくても皆大人しくついて行ってびっくりしました」

「馬には好かれるのよ。私も大好きだし慣れてるって言ったでしょう。今日はロブもいたし彼が手伝ってくれたの」

そう言うと愛犬の頭をよしよしと撫でてやった。

「ロブって言うんですね。賢そうな犬ですね」

「そうなの。賢い犬なのよ。それにとても頼りになる番犬でもあるわ。じゃアまた来週に」

シアはそう言うと青い自転車に乗ってロブと一緒に帰っていった。

マイクは美しくて不思議な人だと思いながらシアとロブの後姿を眺めていた。

「こらマイク、女に見惚れている場合じゃないだろう。カメラ確認してダルさんに報告しないといけないだろう。今日は牧場長がいないからダルさんに直接報告しよう」

「はい分かりました」
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