『もう、好きじゃないことにした』
 
 ある日。

 蓮は莉央が一人暮らししているマンションの下で待ち伏せした。

 「莉央」

 「…蓮?なんでいるの…っ」

 「ごめん、驚かせて。莉央に中々会えなかったから待ってた…最近さ、俺のこと避けてる?」

 「……避けてないよ」

 「嘘」

 「本当だよ」

 「じゃあ何で?」

 莉央は少し笑った。

 「蓮」

 「ん?」

 「私ね」

 少しだけ息を吸う。

 「もう蓮のこと、好きじゃないよ」

 蓮の表情が止まった。

 「……は?」

 「もう諦めたの」

 「何言ってんの?」

 「本当に」

 「……」

 「三年も好きだったけど」

 莉央は笑った。

 「もう、疲れちゃった、」

 胸が痛い。

 「だから、これからは普通の友達でいたい」

 「……無理」

 「え?」

 「それは無理」

 「何で?」

 言えない。

 好きだから。

 ずっと好きだったから。

 「……俺が嫌だから」

 「蓮、」

 「莉央」

 「私ね!」

 莉央の目から涙が落ちる。

 「私、蓮に振り向いてほしかった」

 「……」

 「ずっと…」

 「……」

 「でも、一度もそうならなかったから」

 「違う」

 「何が違うの?」

 「……」

 言えない。

 怖い。

 今さら。

 三年も黙っていた自分が。

 「……もう帰るね」

 莉央が立ち上がる。

 「待って」

 「何?」

 「……」

 蓮は言葉が出なかった。

 莉央は少し笑った。

 「ほらね」

 「……」

 「やっぱり、何も言ってくれない」

 
 そのまま去っていった。


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