『もう、好きじゃないことにした』

 その夜。

 莉央は紗季に言った。

 「蓮くんのこと、まだ好きなんでしょ?」

 「……うん」

 「じゃあ、なんで言わないの?」

 「もう諦めることにしたから」

 「そうなの?」

 「蓮くんは、私のこと好きじゃないから」

 一方。

 蓮は男友達の湊に言った。

 「莉央、好きなやついるんだって」

 「蓮のことじゃないの?」

 「違う」

 「なんで分かるの?」

 「……俺のこと好きじゃないって言ったから」

 湊がため息をつく。

 「ほんと蓮と莉央ちゃんてさ」

 「何」

 「両思いなのに、何でそこまですれ違いできんの?」



 二人とも、相手が自分を好きだとは思っていなかった。

 だから。

 二人とも。

 諦めようとしていた。

 でも。

 本当に諦められるほど。

 簡単な気持ちじゃなかった。

 三年間ずっとアタックし続けていた女と。

 三年間ずっと密かに好きだった男。

 二人はまだ。

 お互いだけを見ていた。

 
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