世界で1番近い君と、1番遠い初恋
瑠華がいなくなったあの日、俺の世界からは完全に色が消えた。
小学4年生の夏。
遠ざかる車の後部座席で、小さな手を千切れるほど振りながら
「ずっと待ってるから!」
と泣き叫んでいた瑠華の声が、何年経っても耳底から離れなかった。
車が見えなくなった道端で、俺はひざから崩れ落ち、足が動かなくなるまで声をあげて泣いた。
次の日から始まったのは、生き地獄のような日々だった。
カーテンの閉め切られた隣の家に明かりが灯ることは二度となかった。
毎朝、俺のベッドに飛び乗ってパジャマの裾を引っ張りながら
「起きて!」
と笑う瑠華のぬくもりも、庭の木製フェンス越しに
「幸平、公園行こう!」
と呼ぶ鈴を転がすような声も、どこにもない。