世界で1番近い君と、1番遠い初恋
居ても立ってもいられなくなり、私は席を立った。
吸い寄せられるように、幸平がいるという1組の教室へと向かう。
渡り廊下の手前、人集かりができている場所があった。
人混みの隙間から見えたのは、背がぐんと伸びて、目を見張るほど大人びた幸平の姿だった。
昔の面影を残した綺麗な顔立ち。
けれど、その雰囲気は昔とまるで違っていた。
誰にでも分け隔てなく爽やかな笑顔を振りまき、女子たちからの歓声を軽やかに受け流している。
そして、その幸平のすぐ隣には────
小柄で可愛らしい女子生徒が立っていた。
彼女は幸平の制服の裾を慣れた手つきでつまみ、幸平はそんな彼女の頭を、優しく愛おしそうに撫でていた。
「ほんと神楽くんって彼女のこと好きだよねー!」
「いつも彼女切れないよね、幸平は。」
周囲の冷やかしに、幸平は
「よせよー」
と照れたように困り顔で笑っている。